なぜ、おいしいものを食べると幸せな気分になるのか?
なぜ、おいしいと食べ過ぎてしまうのでしょうか?

食べたい欲求をコントローズできず、食べてしまう自分に悩んでいる人は多いでしょう。
一方、動物はどうでしょう?
人間に飼われた一部ペットを除き、太りすぎの動物は見かけませんよね。

そもそも、食べ過ぎて太ったと騒ぎ、ダイエットに励むのは人間のみ。事実、ライオンやキリンなどの野生動物は皆スリムです。ダイエットなどを心がけているとも思えません。人間に近いサルでさえ、満腹時に大好物のバナナを与えても、見向きもしないか、自分の隠し場所に持っていき、空腹になった時に食べるのだそうです。

ではなぜ、人間は我慢ができずに、別腹と称しておなかがいっぱいでも食べてしまうのか?

そんな問いに答えてくれるのが本書。現代人の「食べる」を科学した本で、好き嫌いのメカニズム、甘いものに目がない女性の秘密、噛むことの効果などについて説明されています。

動物と人間で異なる「食べ方」のメカニズム

動物は、本能に従い、おなかが減れば食べ、おなかがいっぱいになれば食べるのはやめます。体の中の適正な満腹信号をキャッチしてそれに従っています。

一方、ヒトは、他の動物と比べて大いに発達している全頭連合野の働きが、本能の行動をコントロールしてしまうのです。

おいしいと出てくるドーパミン

食欲を生じさせる脳の部位は視床下部外側野で摂食中枢とも言われます。食後何時間か経つと、血糖値の低下は、摂食中枢の細胞を刺激して空腹感を生じさせ、食欲を高めます。

実際に食べ物を口にし、おいしいと実感した後は、そのおいしさをさらに期待してより多く摂取しようとする気持ちが表れ、ドーパミンが分泌されます。このような働きの脳内経路は「報酬系」と呼ばれます。

麻薬に手を染めた人が麻薬を断ち切れないのも、この「報酬系」が満たされるからです。食欲についても同じで、満たされた気持ちを求め、結果、ヒトはおいしさの誘惑に弱くなっています

食べ過ぎる原因、その解決方法

おいしいから食べ過ぎる大きな原因は「早食い」です。食事をして満腹物質が満腹中枢に作用して食事にブレーキをかけるには、早くても10分かかります。

ではどうしたらいいかと言えば、「我慢」するしかありません。

おいしくて食べ過ぎて、体脂肪の気になる普通の人が心掛けるべきことは、早く食べることを我慢して、ゆっくりよく噛んで食べることです。

食べ物の種類にもよりますが、ひと口につき平均30回噛めば十分です。噛むという行為によって脳内にヒスタミンという満腹物質が出て、摂食にブレーキがかかります。また、噛むことにより交感神経が作用して、脂肪を効率よく燃やして分解すると共に、脂肪細胞の中に脂肪の原因となるブドウ糖が入らないようにし、脂肪合成の酵素の働きも止めてくれるのです。

昔から言われ続けていることですが、「噛むことの大切さ」を改めて認識させられます。

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